いい鍋、人それぞれ
2023.11.07
コラム「四季の風」
◆チゲ、もつ、豆乳、ちゃんこ、おでん。鍋がおいしい季節になった。昼夜の寒暖差が激しい日が続くが、だからこそ夜に鍋を食べたくなる。昼間の暖かさから一転、冷え切った空気を真正面に浴びながら帰宅して食べる鍋は格別に美味しい。11月７日は鍋の日だ。
◆立冬の時期であること、いい（11）な（７）べの語呂合わせ。これらが鍋の日の由縁だそうだ。人によって「いい鍋」、好きな鍋の味や具材は異なるだろう。最近は火鍋やレモン鍋なども人気で、鍋の種類もずいぶん多様になったようだ。
◆豆乳鍋の豆腐が好きだ。汁と豆腐の境界が曖昧に溶け合うような、角が取れた、あのまろやかさが良い。おでんの大根も、定番ながら間違いない美味しさだ。黄金の出汁を吸い込んだまん丸の大根を、箸の先でちょいと切ると、湯気が白く立ち昇る。
◆それぞれの味に良さがある。ひたすら具材を切って煮るだけ、という調理工程の少なさも嬉しい。〆の雑炊やうどん、ラーメンもまた楽しみの一つだ。寒さで心身共に調子を崩しがちになる季節、体の冷えが心の冷えに繋がる前に。今日は鍋を食べよう。（Ｓ）
