コラム「四季の風」

右手に漫画、左手に新書

2021.09.28

コラム「四季の風」

◆読書の秋がやってきた。小説、新書、雑誌や漫画など、人によって手に取る本は様々。とにかく手元に本を置きたくなる、そういう季節の訪れは嬉しいものだ。

◆ゆうきまさみ氏の『新九郎、奔る!』という漫画を読んでいる。新九郎とは伊勢新九郎、のちに後北条家の祖となる北条早雲のことだ。早雲は、浪人から戦国大名にのし上がった下剋上の代名詞的人物だった。しかしこの漫画では、近年の研究を基に、室町将軍家に仕えたエリート一族・伊勢家の一員として描いている。

◆この漫画は、アップデートされた新たな人物観を丁寧に描いている。こうして研究が進むにつれ、定説が覆っていく様子を見ると、歴史が今なお呼吸をしているようにも思える。それもまた、歴史の面白さに思えてならない。

◆そんな訳で、今は漫画と、関連する新書を併読している。知識を得てから再び漫画を読むと、新たな気づきがある。その楽しさを味わううちに、漫画と新書の往復が止まらなくなってしまった。しかしそこはせっかくの読書の秋、行ったり来たりの読書を存分に楽しもうと思う。(S)

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