寄稿 自民党茨城県連最高顧問 岡田 広氏 

無用の用

2025.11.29

寄稿 自民党茨城県連最高顧問 岡田 広氏 

自民党茨城県連最高顧問 岡田 広氏

人間としての幅を広げること

 中国の荘子の言葉に「有用の用」という言葉があります。
 幅の狭い、浅い谷川に小さな橋が架かっており、この橋は私たちが渡れるだけの幅があればいいわけです。これを「有用の用」と呼んでいます。
 しかし、深い谷間に架かる橋はそういうわけにはいきません。私たちが普段なら渡れる幅の何倍もの幅がなければ、危なくて安心して渡れないのではないかと思います。この余分の幅を「無用の用」というそうであります。
 荘子はこの「無用の用」をこのように説いています。
 「世の中で無用とされているものも、活用の仕方ではかえって大いに役立つものである。また、一見したところ全然使い道のない、用途のないものであっても、 使い方により実際は人間の知恵や見識を超える働きがある」ということであります。
 私たちは皆「有用の用」は知っております。しかし、「無用の用」については無頓着です。この「無用の用」というのが、実は大変大事ではないかと思っております。専門的知識あるいは能力だけが高ければよいというものではないと思います。
 宮本武蔵は「幅一尺(約30センチ)の板を通したときに、低いところなら十分に渡れるけれども、天守閣に通したらどうだろうか。皆はその幅一尺の板では、天守閣の間は渡れないだろう」と語ったといいます。それを実現するには、常に不動の心が大事だということを剣豪・宮本武蔵は説いております。まさにその通りであります。
 私たちも、人としてもう少し幅を広げることが大事だということです。そのために五つの基本があります。
 まず第一に「リッスン、人の話を聞く」ということです。人と人との話の中で仕事の話や趣味・特技の話などいろいろな話がありますが、そういう話を聞いた中から何かを得ることが大事です。人の話をたくさん聞く、ということです。「多聞天」という神様がいます。「多聞天」というのは「多く聞く」という「多聞」であります。
 二つ目は「リード、読む」ということです。本から読む知識を自分のものにするということです。三番目に「オブザーブ、観察をする」ということであり、研究をするということだと思います。
 四番目は「シンク、考える」ということです。そして五番目、「ディスカス、議論をする」ということであり、この五つが基本であります。こういう基本に徹して仕事をするというのが大事なことです。
 仕事や日々の生活の中で、それぞれの人が自分の人間としての幅を広げる、プラスアルファが大事だということです。

お問い合わせCONTACT

電子版ログイン

未来e-net