寄稿 自民党茨城県連最高顧問 岡田 広氏 

公共事業の重要性について

2025.07.03

寄稿 自民党茨城県連最高顧問 岡田 広氏 

自民党茨城県連最高顧問 岡田 広氏

コンクリートが人の命を救う

 公共事業の重要性について、株式会社建設未来通信社出版の『いばらきの公共・公益事業』の本を読みました。「元気」という言葉が大好きな渡邊一夫元県土木部長をはじめ、インフラ整備をはじめとして様々なプロジェクトを実現し、県土の発展に尽くされた方々のご尽力に頭が下がる思いです。
 私も安倍内閣の時に内閣府副大臣を拝命し、復興副大臣も兼務しました。東日本大震災後の復興のために、岩手県の三陸海岸に面した普代村と田野畑村を視察しました。普代村の人口は約3000人、田野畑村は4500人です。
 田野畑村には8mの防潮堤がつくられていました。普代村の村長さんは、貞観(じょうがん)津波や明治三陸地震津波などが過去に発生したこともふまえ、田野畑村の倍の15・5mの防潮堤をつくりはじめました。村民からは「村長、何と無駄な公共事業をやっているんだ」「建設業者からお金でも貰ったのか」といろいろ言われたそうですが、東北一の防潮堤は完成しました。
 東日本大震災による大津波は8mを超え、田野畑村では死者・行方不明者29人、家屋倒壊数は270棟でした。一方、普代村は15・5mの防潮堤が村民の生命、財産を守りました。被害は0でした。
 当時は民主党の菅政権でした。「コンクリートから人へ」というスローガンのもとに公共事業予算が一挙に減額されました。
 コンクリートが人の命を救ったのではないか。民主党政権のもとで事業仕分けという委員会がつくられましたが、15・5mの防潮堤は大津波がなければ一発でムダだと言われたのではないか。ムダが人の命を救ったのではないか。
 コロナで亡くなる人も災害で亡くなる人も、命です。人間の命を守ることが、国にとっても地方公共団体にとっても一番大事なことではないでしょうか。普代村の当時の和村幸得村長は、遠い天界にあって自分の行った事業はまちがっていなかったと安堵の気持ちでいるのではないでしょうか。コンクリートも人も大事だから、限られた予算をどう配分するのかということで何回も議論するのが責任政党の使命、役割だと考えます。
 戦後の日本の復興・経済成長のための公共事業で、電源開発、高速道路、空港、電話などの通信網等が急速に整備されました。その結果、高度経済成長の波に乗り、世界有数の経済大国として奇跡とも呼べる復興を成し遂げました。
 日本は地震大国であり、昨今数えきれないほどの地震が全国で発生しており、風水害、大雪などもあります。
 日本では、首都直下型地震や南海トラフ地震などが近い将来発生するだろうと予想されています。これらは自然現象であって、いつ起きるか正確に予測できません。あらゆる自然災害に備えるためにも、防災・減災に公共事業は必要であるということを、国民の皆さんにも訴え続け、理解してもらうことが重要です。

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