新聞で描かれた世界
2026.05.26
コラム「四季の風」
◆とある企画展のチラシに描かれた「鍋焼きうどん」に興味を惹かれた。一見すると水彩画のように見えるその鍋焼きうどん。よく見てみると、ところどころに文字が見える。現在、笠間日動美術館で開催している「97歳セツの新聞ちぎり絵原画展」のチラシだった。
◆90歳からちぎり絵制作を始め、身近な品々を題材に制作を続けている木村セツさん。SNSに公開されている作品を何点か見たが、蓮根は皮や穴の質感など本物のように見えたし、焼き目の付いたししゃもからは香ばしい香りがしてきそうだった。どれもこれも、新聞をちぎって制作されているとは思えないものばかりだ。
◆私自身も趣味で絵を描くが、写実的に捉えつつ描くのは苦手だ。だからこそ、物の色や質感、グラデーションなどを緻密に表現しているセツさんの作品を見て感動を覚えた。新聞の紙面という限られた場所から材料を探し出しているのだからなおさらだ。
◆最近はゆっくりと眺める時間をなくしてしまった。チラシを見つけたのも何かの縁。実物を見に、笠間日動美術館で作品をじっくり見てこようと思う。(K)

