良い仕事には時間がかかる
2025.07.15
コラム「四季の風」
◆映画「国宝」を観た。同作は吉田修一の小説が原作。吉沢亮さんが演じる喜久雄が上方歌舞伎の頂点に登り詰めるまでを描いた作品。約3時間という上映時間の長さが全く気にならない傑作だった。作中では主人公が歌舞伎を演じるシーンが数多く盛り込まれているがどれも見事な出来栄え。本職の歌舞伎俳優と見紛うほどだった
◆主演の吉沢さんはインタビューで1年半の準備期間をかけたと語っており、長い時間をかけてじっくりと準備をするということの大切さを教えてもらった気がする
◆タイムパフォーマンスの略語である「タイパ」という言葉が市民権を得て久しい。忙しい現代人、時間を有効活用することは大切だ。一方で回り道であっても時間をかけてじっくりと取り組むことで技術や技能を高めていくということもやはり大事なのではないかと思う
◆建設現場で働く職人の皆さんのひとつひとつの仕事ぶり。熟練するまでにはきっと長い時間を費やしたことだろう。良い仕事には時間がかかる。コスパだけでなく費やした時間が正当に評価される社会であってほしい。(N)

